西域暴雲録
熱砂の小恋歌- [出版] スーパーファンタジー文庫（集英社）
- [ISBN] 978-4-08-613242-8
- 唐代の中国の辺境、砂漠の中にある女人国〈西涼〉より始まる３巻シリーズの第１巻です。主人公は〈西涼〉の女帝の末娘・瑛蓮。十七歳になる瑛蓮には、劣等感を抱く存在がありました。それが瑛蓮の姉たち……次期女帝と目され、自らを誇示ぜずにはいられない長女・姉紅、常に沈着冷静な野心家で他人を頼ることのない次女・絮星、要領が良くちゃっかり者の三女・琲梨の三人でした。こんな姉たちの下での瑛蓮の生活が一変するきっかけとなったのが、〈西涼〉に突如もちあがった、天に神意を問う「御託宣伺い」の件でした。御託宣伺いの使者に選ばれることは大変な名誉とされているにもかかわらず、三人の姉はある理由からそれを辞退。結局、行きたくなかった瑛蓮がその役目を負うことになってしまいます。嫌々旅立つ瑛蓮のお供は、美青年で腕も立つけど無愛想な武人・馮昴。こうして始まった瑛蓮の旅でしたが……？ この四姉妹、性格がバラバラで楽しいですね。全員腕が立ってかっこいいですし……（瑛蓮も結構強かったりします）。男性陣の方も、途中で吟遊詩人と盗賊団の頭領が出てきて計三人になりますが、こっちもなかなか。気軽に楽しめた１冊でした。
陽炎の奏鳴曲- [出版] スーパーファンタジー文庫（集英社）
- [ISBN] 978-4-08-613263-3
- シリーズの第２巻。瑛蓮の三人の姉たちは、母親に「隠し事」がばれて追放され、結局、瑛蓮に同行することに……。こうして女四人＋男三人で、御託宣伺いの旅は続きます。が、合計七人の騒々しい旅は、思ったほど長く続きませんでした。それは……？ 今回の展開は、なんとなく「らぶこめ」ですね。
落日の遁走曲- [出版] スーパーファンタジー文庫（集英社）
- [ISBN] 978-4-08-613293-0
- シリーズ第３巻。完結というわけではないのですが、これ以降はシリーズは出ていません（どっちかというと「単発ものの連作」に近いシリーズなので、あまり気になりませんが）。一人抜けて六人になった瑛蓮一行の御託宣伺いの旅は、相変わらず騒動に巻き込まれながらも続きます。ところで、ラストの鵞蝸魔王と白虎七将の戦いって……(笑)。
