対馬正治 (更新終了)

紅蓮の猟魔士

魔王ペイモン率いる先住魔族(ディアボロス)の支配に対して、人間たちが戦いを挑み、そして勝利してから五百年後。世界には、魔族にかわって人間たちを脅かす存在がありました。「憑魔」とよばれるその存在は、人の心の隙につけこんで、その身体を乗っ取り、狂暴な怪物に変えてしまうのです。そして、この憑魔を見つけ出し、倒すことができるのが、猟魔士と呼ばれる人々でした。

この話の主人公は、過去の記憶を失っている猟魔士ダレット。聖ラズロウ教導団……五百年前、魔王ペイモンと相打ちになったと伝えられる人間の勇者ラズロウの名をとった……から、憑魔の調査依頼を受けて、相棒である美少年呪術士ペイとともにオクトベルという名の街に赴いたダレットは、何故かそこで奇妙な既視感を覚えます。そして、教導団の記録によれば、その街には二十年前に憑魔が出現しており、若い男女の猟魔士が刺し違えて倒したとされていました。このときに、憑魔の「種子」を取り逃がしていたのではないか、と判断したダレットたちは、ただちに調査を始めたのでしたが……。

「憑魔」という、人間とは異なる精神構造をもつ(らしい)侵略者の不気味さと、ダレット&ペイのコンビの設定が、この話のツボでしょうか。特に私は、ダレット&ペイの関係がかなり気に入っています。

闇を喚ぶ紅の魔石
[著者] 対馬正治 [イラスト] 花屋敷ぼたん
[出版] 富士見ファンタジア文庫富士見書房
[ISBN] 978-4-8291-2949-4
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血を啜る偽りの聖剣
[著者] 対馬正治 [イラスト] 花屋敷ぼたん
[出版] 富士見ファンタジア文庫富士見書房
[ISBN] 978-4-8291-1339-4
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シリーズ第2巻。かつて、勇者ラズロウが使っていたとされる「聖剣」をめぐる奇妙な依頼が、探偵を装っているダレット&ペイのもとに舞い込みます。が、「聖剣」は、勇者ラズロウだけでなく、憑魔という存在とも深い関わりがあったのでした。当然のごとく、ダレット&ペイは、憑魔がらみの事件に巻き込まれていくことになります。そして、失われた聖剣がその姿を現した時……? あとがきによると、諸般の事情によりこの巻でシリーズ完結とのことです。あと1冊あれば構想を消化できそうな感じですけど……。
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