こんなに緑の森の中
肩を痛めて、高校（スポーツ科）を中退した大内純一は、半年間の海外出張に出ているいとこのアパートで、いとこの飼っていた猫の世話をしながら大検の受験勉強をすることになります。高校中退をめぐっての両親との対立などで、とても家では勉強できるような状態ではなかったのです。ところがアパートにいたのは猫ではなく、茶色の髪の少年だったのでした。こうして、アパート暮らしを始めた純一の周囲で、さらに不思議なできごとが次々と起こります。そして、いつしかアパートは、緑の森に包まれていたのでした。
現実との折り合いがつけられずにいる住人たちの影響を受けて、不思議な変化を見せるアパートを舞台にした、「半年間の猶予期間」の物語です。ちょっと疲れたな……と思ったときに読むと、いいことがあるかもしれません。現実を正面から見つめるための「癒し」の物語、穏やかだけど爽快です。さらに、猫が好きな人は必読です。
こんなに緑の森の中