真堂樹 (更新終了)

レマイユの吸血鬼

薔薇の接吻 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600244-8
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異世界が舞台の吸血鬼もの。この話の主人公は、かつて王に吸血鬼退治を命じられ「薔薇の騎士」と呼ばれた一族レマイユの末裔で、妖しい雰囲気の美青年イブ。彼はレマイユ伯爵でありながら所領を離れ、「ロズ・ミステル(秘密の薔薇)」の名で劇場の舞台に立つ傍らで、ある仕事をしています。また、もう一人の主人公が、その勤勉さと色恋ごとへの関心の無さから「堅物殿下」「禁欲殿下」などと呼ばれている第二王子・ジェラール。このジェラールの目下の関心事は、都で立て続けに起こっていた殺人事件で、貴婦人ばかりが狙われ、「吸血鬼の仕業」と噂されていました。そして、この事件の調査を進めるジェラールの目に留まったのが「薔薇の騎士」の伝説。やがて、イブの住み処を探り当てたジェラールは、協力を厭うイブを引きずり出し、彼とともに吸血鬼騒動解決のために奔走することになります。 この話、何はともあれイブ&ジェラールの微妙な関係。今のところ、ジェラールの方が一枚上手のようですね。イブにとっては腐れ縁かもしれませんが……。
堕天使の棺 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600269-1
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「大アンジュ」とも呼ばれる公爵家の子息シャルルと間違えられ、彼と一緒にならず者に拉致されてしまったイブ。ただ一人のアンジュ家の直系であるにも関わらず、公爵の地位を継がない(継げない?)ことになっているらしいシャルルはイブに、「どんな棺に入りたいとお望みでしょう」と問い掛けたのでした。それを「わけのわからない棺談義」と無視して、いささか乱暴な手段で監禁場所から一人で脱出したイブでしたが、今度はジェラール王子に拾われて、再び厄介事に付き合わされる事に……。 今回、ジェラール王子のイケズな本性が次第に明らかになってきてます。「服」を条件に協力を迫るジェラール、良いです(笑)。口では辛辣な事を言っていても、人を見捨てる事ができないイブでは、ジェラールにはかなわないようで……。一方、ジェラールの王宮内での微妙な立場も次第に明らかになってきました。今後、イブもそれに深く関わる(巻き込まれる?)ことになるのでしょうか?
鈍色の離宮 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600390-2
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怪しげな魔術で領民を魔物に変じさせているという「魔術侯ルドルフ」の噂を聞き、その出所に魔物退治に出かけようかと冗談半分に語ったレマイユ伯爵イブ。一方、第二王子ジェラールは王命で隣国の使者を出迎えに辺境へと向かうことになりますが、その使者は魔術侯とも呼ばれる者の使いでした。結局イブはなりゆきで、ジェラールのお供をすることになってしまいます。こんな彼らが向かう先の辺境は、古のヴァンピルが棲んだと伝えられ、レマイユの吸血鬼伝説とも関わりがある地。そして、そこにあるのは、幼きジェラールが母親と暮らしていた「鏡の城」……。 前々からほのめかされていた、ジェラールの凄惨な過去の一端が明らかになるシリーズ第3巻。同じく謎に包まれているイブの過去についても、少しだけ語られています(アルベール……)。こんな二人ですが、掛け合いはいつものとおりで、ほっと一息つけます(殿下の赤恥(笑))。個人的には、マリーの出番が多いのも嬉しいです。ところで、このラストからすると、イブはますますジェラールから離れられなくなりそうですね。
花園の媚薬 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600492-3
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Cobalt本誌に掲載された短編2本を収録したシリーズ番外編です。
「花園の媚薬」
ジェラールを慕う第三王女アデライドの侍女シャルロット。行方不明になったうえに、吸血鬼であるとの噂が立っている彼女を助けて欲しいと、アデライドに頼まれた(泣きつかれた)ジェラールは、当然の如くイブに相談を持ちかけます。断りきれずに手を貸すことになったイブでしたが、「吸血鬼」がダシに使われたことには立腹のようで……?
「蜜蜂の偽薬」
巷で噂の「恋の妙薬」を飲んだ後で、血を吐いて死んでしまった一人の庭師。彼を一夜の愛人にしようとしていたマダム・パナシェは、国王の名を借りてジェラールに事件の解決を求めます。今回は気晴らしついでに付き合うことにしたらしいイブと共に、下町へと繰り出したジェラールは、ちょっとした騒動の末に「フォレの蜜蜂」という組織を探り当てます。ジェラールとイブは、この「フォレの蜜蜂」――「恋の妙薬」と偽って下剤を売りつけ、その結果起こる醜聞を絵新聞にしてばらまいているらしい――に接触することにしたのでした。
黒騎士の嫁 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600544-9
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「新しきヴァンピル」を名乗る者の血を啜ってから体調を崩したイブは、領民を魔物に変えているとの噂があるローゼンブルクの「魔術侯」を探るべく、蝙蝠館の面々に別れを告げて旅に出ることを思い立ちます。一方、病床にあった王太子の病状の悪化により、さらなる命の危険にさらされることになった第二王子ジェラールは、これまで探ろうとしてこなかった自らの秘密を解き明かすことを決断します。そして、そのころ王宮では、国王が招いた「ローゼンブルクの医師」が、王太子に妖しげな「治療」を施そうとしていたのでした。 イブとジェラール、それぞれの出生に秘められた謎が明らかになり、それ故に急展開のシリーズ本編第4巻。ジェラールの「誘い」にぐらつくイブが可愛いです。
永久の戴冠 〜レマイユの吸血鬼〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 木々
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600575-3
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濡れ衣を着せられ囚われの身となったジェラール。一方イブは、魔術候ルドルフの館で自らの内に潜む者に苛まれていました。それに耐えてルドルフの館を脱出したイブは、かつて蝙蝠館に集った面々と合流、ジェラールの救出に乗り出します。やがて再会したイブとジェラール、それぞれが下した決断とは……? 最終巻。イブとジェラールそれぞれの過去に決着がつき、大団円にてシリーズ完結です。イブ&ジェラールの大立ち回りはもとより、最近出番が少なかった面々の活躍が見られたのが嬉しいです。そして、なんと言ってもラストシーン。「最後の一言」は落ちた瞬間なのでしょうか? (笑)

洞天茶房菜単

天界の底に通じる井戸を持つ「洞天茶房」。その主人である李子春は科挙の受験生でもあり、また怪異に強く惹かれていました。そして天界から堕ちてきた女仙さまと、美青年姿の花仙・梅鬼と牡丹郎。女仙さまを天界に帰すためい必要な陰気を求めて、李子春は茶房を営みつつも、二人の花仙と共に怪異に関わることになります。

二人の花仙、禁欲的な梅鬼と遊び好きな牡丹郎は、洞天茶房では給仕をしており、客の文人たちに大人気。そんな彼らも怪異を前にすれば、麗しい姿に変身して活躍します。他にも、子春の先生とその友人(←怪異好き)、洞天茶房を目の敵にしている酒楼の主人・福麟(←ぶさいくな愛犬の名は楊貴妃)とその手下など、様々な人物が登場し、賑やかに物語は展開します。

ちなみに、私の一番お気に入りの話は「美男の供す佳き仙茶」です。なりゆきから怪異の退治と夜の茶会を同時進行でやることになってしまい、梅鬼と牡丹郎は怪異と戦いつつ給仕、子春はそれを上手くごまかして解説と、息のあった場面が楽しめました。

洞天茶房菜単 〜中華奇譚品書き〜 美男の供す佳き仙茶
[著者] 真堂樹 [イラスト] 雁えりか
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-601475-5
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洞天茶房菜単 〜中華奇譚品書き〜 絵に描いた妖しき桃
[著者] 真堂樹 [イラスト] 雁えりか
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-601508-0
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姫なのに王子

姫なのに王子 〜花冠はダレのものっ!?の巻〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 水谷悠珠
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-601043-6
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かつて人とドラゴンが住んでいたという、森と湖に囲まれた美しい国アマリリス。この国の王女でありながら、父王が行方不明のため肩身の狭い思いをしている少女プリシラが主人公の物語。国王不在の今、実権を握るのは大臣ダバランで、その娘リリアンヌは王宮でわがまま放題。春の祭りの「ドラゴンの乙女」に選ばれたのもリリアンヌでしたが、国一番の職人からプリシラに花冠が贈られてきたためリリアンヌが激怒し、厄介な事態に。さらに城下に王の幽霊が出るという噂が立ち、秘かに城を抜け出すプリシラでしたが、彼女にはある秘密があったのでした。 プリシラと侍女のスピカが可愛いです。プリシラの護衛隊長シリウスは、リリアンヌの兄だけど苦労性の好青年でこれもまたよし。ちなみにプリシラの秘密はタイトルの通りです(可愛いタイトルですね)。
姫なのに王子 〜いばらの向こうは運命の扉?の巻〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 水谷悠珠
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-601067-2
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姫なのに王子 〜ドラゴンの森へ!の巻〜
[著者] 真堂樹 [イラスト] 水谷悠珠
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-601130-3
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神々の、麗しき額。

神々の、麗しき額。
[著者] 真堂樹 [イラスト] 麻々原絵里依
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614621-0
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人間と悪鬼と神々がともに息づくヒンドゥー風の世界が舞台のファンタジーです。華々しく、色気があって、妖しい場面でいっぱいなのですが、大部分の登場人物(人間以外が多いけど)の性格のせいで、かなり笑える話になっています。主な登場人物は、飄々とした性格で何か重い過去を背負っているらしい、若き苦行者ヤシュダと、美しい青年の姿をした未成熟の悪鬼の長ラシュナーンの二人です。寺院の神像から盗まれたという石を探していたヤシュダは、悪鬼が棲むというカーマラトリの森で、ラシュナーンと出会い、なりゆきから剣の勝負をすることになります。これに負けて悔しがるラシュナーンは、必ずヤシュダを虜にして見せると、悪鬼やその眷族たちに宣言したのですが……。
神々の、悪戯な指。
[著者] 真堂樹 [イラスト] 麻々原絵里依
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614767-5
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「神々の、麗しき額。」の続編です。やっぱり出会ってしまいました、苦行者ヤシュダと悪鬼ラシュナーン。しかも出会った場所は娼館。もちろん、猿神アラヤティーと蛇神ナーガも登場します(私はナーガが一番好き(笑))。ちなみにキンサラはお留守番のようです。前作同様、妖しい雰囲気と掛け合い漫才が楽しい1冊でした。
http://www.matsubokkuri.net