皆川ゆか (更新終了)

運命のタロット

タロットの精霊とその協力者たちの、「運命」をめぐる壮大な物語……このシリーズは、〈運命のタロット〉と〈真・運命のタロット〉の両方あわせてひとつの作品です。構成上、前者が「第一部」、後者が「第二部」です。

水元頼子（通称ライコ）が、長い間封鎖されていた学校の資料館で見つけた、一枚のタロットカード……。それはタロットの大精霊《魔法使い》が封印されていたカードだったのでした。タロットの精霊たちは、歴史があらかじめ「アカシック・レコード」に定められた通りに展開していくことをよしとせず、歴史の改変を試みる「プロメテウス」と、彼らによる歴史の改変を阻止しようとする「ティターンズ」――ただしこの呼び名はプロメテウス側がつけたものである――に分かれて戦っており、カードの封印を解いてしまったライコは、《魔法使い》の協力者――タロットの精霊たちがその力を発揮するのに必須の存在――として、この「運命」をめぐる戦い――「フェーデ」――に参加することを求められます。

ライコは最初、（当然ながら）この戦いに参加することを渋っていました。しかし、《魔法使い》を巻き込んで行われた「フェーデ」の対象が、彼女の身近な人物の「運命」であったことから、ライコはしかたなくこの「フェーデ」に参加することになります。しかし、ライコの戦いはこれで終わりではなかったのでした。時がたつにつれて戦いは激しさを増し（「フェーデ」の対象も次第に大きくなっていく）、ライコの高校生としての日常は失われていきます。そして、この戦いを通して、ライコは傷つきながらも、成長し、同時に「変容」していくことになります。さらに、「真・運命のタロット」では、雰囲気が一気に変わって、さらに過激な戦い――アメリカやソ連の秘密基地を舞台にした――が繰り広げられます。

ところで、タロットの精霊たちの戦いの目的は「運命」なので、当然「時間」が絡んできます。全ての章見出しには、現在時刻が書かれていて、否応なく「時間」を意識させられます。一部の精霊は時間移動ができるため、ストーリーも時間が入り乱れていて非常に複雑かつ謎だらけになっています。そして、何といっても、タロットの精霊たち！　「象徴の力」と呼ばれる、各々の精霊に固有の能力を駆使して戦う彼らが、と～～っても魅力的！なのです（もちろん、精霊には欠かせない「協力者」たちも、つわものぞろいです）。