マーガレット・ワイス (更新終了)

ドラゴンランス

300年前の「大変動」によって失われた「まことの神々のしるし」を求めて、旅に出た七人の冒険者たち――人間に犯されたエルフの女性を母親に持つハーフ・エルフのタニス、ソラムニアの騎士(?)スターム、大男の戦士キャラモンと、その双子の弟である魔術師レイストリン、老いたドワーフの戦士フリント、ケンダー族のタッスルホッフ、そしてキャラモンとレイストリンの異父姉でタニスの想い人であったキティアラ。旅人の集まる交差点の街ソレースにある宿屋「憩いのわが家亭」での、五年後の再会を誓って旅に出た彼らでしたが、その誓いはキティアラの欠席によって破られます。そして、ソレースの街には、新しい神々を求める「シーク教」の狂信者たちと、ホブゴブリンの軍団があふれかえっていました。

ソレースのこのありさまに、不吉な予感を覚えるタニスたちの前に現れたのは、平原人の族長の娘ゴールドムーンと、羊飼いの青年リヴァーウィンドの二人でした。彼女たちが携えていたのは、リヴァーウィンドが授かったという「青水晶の杖」――失われたはずの僧侶の力である「癒しの力」を持つ杖。しかし、シーク教の狂信者たちは、この杖の力を「神々への冒涜」とみなしたため、タニスたちは二人の平原人とともに、ソレースを追われる羽目になります。そして、ソレースを脱出したタニスたちが目にしたのは、「雄々しき戦士」と「暗黒の女王」の二つの星座の消滅。それは二人の神、パラダインとタキシスが地上に降り立ち、後に「ドラゴンランス戦争」と呼ばれることになる大戦乱が始まったことを示していたのでした。

一方、逃亡を続けるタニスたちの前に立ちはだかったのが、謎の怪物ドラコニアンの部隊でした。なんとかこの危機を切り抜けたタニスたちは、ドラコニアンの狙いが「青水晶の杖」にあることを知ります。「青水晶の杖」が「まことの神々のしるし」と何らかの関係を持ち、この戦争に大きな影響を与えると考えたタニスたちは、リヴァーウィンドが杖を見出した場所――「大変動」で滅亡した都市ザク・ツァロスへと向うことになります。しかし、その廃都には、一頭の巨大な黒竜が潜んでいたのでした。この黒竜と「青水晶の杖」との関係は? そして、タニスたちの運命やいかに?

……というところから始まる、テーブルトークRPG「ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(D&D)」をベースに書かれた超大作ファンタジー小説です。原書では3部作ですが、翻訳では各部2分冊で、全6巻で刊行されています。

(注:このシリーズは、富士見ドラゴンノベルズから刊行されていましたが、2002年4月より、アスキー/エンターブレインから復刊されました)

ドラゴンランス 1 廃都の黒竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-0842-6
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ドラゴンランス 2 城砦の赤竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-0843-3
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ドラゴンランス 3 氷壁の白竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-0863-1
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ドラゴンランス 4 尖塔の青竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-0902-7
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ドラゴンランス 5 聖域の銀竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-0930-0
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ドラゴンランス 6 天空の金竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1196-9
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ドラゴンランス伝説

ドラゴンランス戦争終結から2年後に始まる、「奈落の双子」こと、レイストリンとキャラモンの物語です。魔術師レイストリンは、ドラゴンランス戦争のはじまる前、魔術師になるために受けなければならない試練《大審問》で、謎の変容をとげました。そして、ドラゴンランス戦争終結後、レイストリンは自らの野望を実現するため、時間遡行の魔術で過去へと旅立ちます。一方、レイストリンの兄であるキャラモンは、愛する弟が自分から離れていくことに耐えられず、酒に溺れる毎日を送るようになっていましたが、弟の野望を知った彼もまた、過去へと旅立ちます。彼らの向った時代は、「大変動」の直前の宗教都市イスタル……。しかし、この時間遡行は、「双子の試練」の始まりに過ぎなかったのでした。キャラモンは弟を救う事が出来るのでしょうか?

このシリーズ、後書きには「地理の〈ドラゴンランス戦記〉、歴史の〈ドラゴンランス伝説〉」といった意味の解説がありました。「ドラゴンランス戦記」は、大量の登場人物が世界のあちこちで活躍する作品でしたが、こちらの登場人物は比較的少なく、そのかわりに、ひとりひとりの描写が細かくなっています。このシリーズは「ドラゴンランス戦記」の続編というよりは、第二部といったほうがいいのかもしれません。「ドラゴンランス戦記」では謎のままだった、過去の数々の事件の真相が、このシリーズで明かされます。そして、「まことの神々のしるし」を求めて旅に出た冒険者たちの物語も完結することになります。
(と思ったら続きが出ました)

ドラゴンランス伝説 1 パラダインの聖女
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1802-9
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ドラゴンランス伝説 2 イスタルの神官王
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1896-8
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ドラゴンランス伝説 3 黒ローブの老魔術師
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1938-5
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ドラゴンランス伝説 4 レオルクスの英雄
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2006-0
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ドラゴンランス伝説 5 黒薔薇の騎士
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2069-5
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ドラゴンランス伝説 6 奈落の双子
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2137-1
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ドラゴンランス セカンドジェネレーション

ドラゴンランス セカンドジェネレーション 上
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1428-1
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ドラゴンランス セカンドジェネレーション 下
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1516-5
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ドラゴンランス 夏の炎の竜

ドラゴンランス 夏の炎の竜 上
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1580-6
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ドラゴンランス 夏の炎の竜 中
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1669-8
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ドラゴンランス 夏の炎の竜 下
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-1801-2
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ドラゴンランス 魂の戦争

ドラゴンランス 魂の戦争 第一部 墜ちた太陽の竜 上
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2235-4
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ドラゴンランス 魂の戦争 第一部 墜ちた太陽の竜 中
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2346-7
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ドラゴンランス 魂の戦争 第一部 墜ちた太陽の竜 下
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7577-2467-9
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ドラゴンランス 魂の戦争 第二部 喪われた星の竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7561-4838-4
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ドラゴンランス 魂の戦争 第三部 消えた月の竜
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン [翻訳] 安田均
[出版] アスキー
[ISBN] 978-4-7561-5089-9
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ダーク・ソード

魔法がすべてを司る世界シムハランでの、魔力を持たずに生まれてきた王子の苦難の物語です。魔法世界シムハランには、九つの神秘があり、八つはいわゆる魔法で、時間、霊、空気、火、大地、水、影、生命からなっていました。そして、第九の神秘は「禁断のテクノロジー」と呼ばれ、これを用いること、すなわち道具を用いることは、厳しく禁じられていました。

魔法世界シムハランで生まれた子供は、どの神秘に長けているかを〈誕生試験〉によって判定され、その結果と身分によって職業が決定されます。たとえば、大地の神秘なら農耕民や職人、火の神秘なら戦士、水の神秘なら治療師に、それぞれなることが定められているのです。そして、もっとも重要なものが「生命」の神秘に長けた人々でした。彼らは「触媒師」と呼ばれる魔力の導き手であり、世界から力を受け取り、魔力に変換し、他人へと転送することを仕事としています。人々は、触媒師から魔力の供給を受けて、はじめて魔法を使うことができるのです。

ところで、触媒師はシムハランの聖職者でもありました。そして、その長である大僧正のみに伝えられてきた、シムハランで最後の降霊術師の予言がありました。その内容とは、「やがて王家に死者が生まれる。その者は再び死んで、再び生を得る。そのとき、その者がもたらすのは世界の破滅……」。死者とは〈誕生試験〉において、魔力を持たないと判定された人間のことであり、道具が禁忌とされているシムハランでは、生きることが許されない存在でした。

サリオンは、二十五歳のとき、図書館で「第九の神秘の部屋」に入るという禁を犯した触媒師でした。しかし、サリオンは処罰されることなく、都メリロンへと送られ、王子の誕生試験に立ちあうことを命じられます。そこでサリオンは、生まれたばかりの王子が「死者」であることを知ります。そして、王子といえども「死者」は許されない存在のはずでした。それから十七年後……。農村で、監督官を殺して逃亡した少年がいました。ジョーラムという名のこの少年の逃亡先は、〈車輪の一族〉あるいはテクノロジストともよばれていた、「死者」たちの集落でした。触媒師サリオンは、大僧正ヴァンヤによって、ジョーラムを連れ戻すため、〈車輪の一族〉の村へと送り込まれます。

〈車輪の一族〉の村で、ジョーラムが挑戦していたこと……それは、あらゆる魔力を吸収し、無効化するという〈暗黒の石〉で、剣を鍛えることでした。この、〈暗黒の剣〉を武器に都メリロンへと乗り込むというジョーラムの計画に、サリオンは否応なく引きずり込まれていきます。そして、ジョーラムが進む道は、降霊術師の行った予言にそったものであったのでした……。

このシリーズの最大の魅力は、なんといっても魔法世界シムハランそのものにあると思います。人々の活動すべてが魔法を介して行われる、まさに「異世界」です。特に、天候制御ドームに囲まれ、数々の空中楼閣で構成された魔法都市メリロンの描写には圧倒されます。一方、ジョーラムやサリオンはともに、心に闇を抱えており、魔法を使えない人物です(触媒師はほとんど魔法を使えない)。そのせいもあってか、物語の雰囲気はかなり重苦しいものになっていますが、これもこのシリーズの魅力といえると思います。

ダーク・ソード1 暗き予言の始まり
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
ダーク・ソード2 暗黒の剣の誕生
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
ダーク・ソード3 暗黒の王子
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
ダーク・ソード4 光と闇の都市
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
ダーク・ソード5 死者たちの挑戦
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
ダーク・ソード6 暗黒の剣の勝利
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房

熱砂の大陸

かなり凝った世界設定が魅力の、砂漠を主な舞台にした冒険ファンタジーです。宇宙は、「真実」を中心とする正二十面体の宝石であり、その十二の頂点は、「真実」の十二の哲理に対応しています。十二の哲理とは、「善」「慈悲」「信仰」「博愛」「寛容」「秩序」と、「悪」「狭量」「現実」「貪欲」「不寛容」「混沌」であり、この宇宙の二十の神々は、これらの哲理の三つを体現する存在です。神々には、「善」に接する光の五神、「悪」に接する闇の五神、そして中立の十神がいます。この神々と人間を結ぶのが、精霊と呼ばれる存在であり、主とする神の性格に応じて、さまざまな姿と力の配分をとります。そして、この世界で唯一の神になることをもくろんだ、現実と貪欲と秩序の神クアルに対抗する、神々と精霊と人間たちの物語です。

この物語の主人公は、信仰と混沌と不寛容の神アクランから、部族の合同の象徴として結婚を命じられた、アカール族の王子カールダンと、フラナ族の王女ゾーラ、彼らが奴隷市場から救出した若き魔法士のマシュウです。彼らとともに活躍(?)するのが、アクラン神の精霊である魔人(ジン)たちと、マシュウの守護天使アスリアル(善と博愛と信仰の神プロメンサスの精霊)。この中でも、魔人たちのやることがとにかく楽しい! 魔人たちは、その周囲には予測不能な行動で、クアル神の精霊や信徒たちと、主とする人間たちを翻弄します。話の展開はかなり重いですが、ユーモア満載で楽しい雰囲気のシリーズです。

熱砂の大陸1 放浪神の御心
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
熱砂の大陸2 謀略の古代都市
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
熱砂の大陸3 闇の聖戦士
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
熱砂の大陸4 神々の帰還
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
熱砂の大陸5 異教徒の魔法
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
熱砂の大陸6 使徒の薔薇
[著者] マーガレット・ワイス トレイシー・ヒックマン
[出版] 富士見ドラゴンノベルズ(富士見書房
http://www.matsubokkuri.net