ラリィ・ニーヴン (更新終了)

ノウンスペース・シリーズ

リングワールド

これは〈ノウンスペース・シリーズ〉全体のクライマックスに相当する作品です。リングワールドとは、ノウンスペース(既知空域)の外で発見された、恒星を中心に持つ巨大なリボン状の構造物で、リングの直径は約3億キロ、幅約160万キロで、回転することで外向きに1Gの重力を作り出しています。内側のリングの両端には高さ1600キロの外壁が存在し、その間に土壌と海洋、大気があります。また、このリングと恒星との間には、20枚の長方形の〈遮光板〉が連なって公転しており、リングワールド上に昼と夜を作り出しています。このリングワールドの表面積は、地球の300万倍……。SFでは、このリングワールドより巨大な構造物が出てくる話もたくさんあると思いますが、このリングワールドの「素直な」巨大さに私は感動してしまいました。「リングを回転させて重力を作る」「大気が逃げないように外壁を立てる」「中心の恒星をエネルギー源とする」「昼と夜は遮光板で作る」……などなど、シンプルでイメージしやすいシステムです。

この巨大環状世界の探査に参加したのは、地球人二人と、パペッティア人(草食動物から進化した異星種族)、クジン人(肉食獣から進化した異星種族)からなる探険隊。当初はリングワールドに着陸する予定ではなかったのですが、探査船がリングの内側に入ったとき、何者かの攻撃を受けリングワールドに不時着……。超光速推進機関は無事だったものの恒星の近傍では使用不可能、核融合エンジンと無反動推進機関は跡形もなく消滅……。こうして、リングワールドからの脱出手段を求めての冒険が始まります。リングワールドの生態系や文明、主人公ルイス・ウーとパペッティア人とクジン人の考え方や食習慣(笑)の違いから生じる会話などが、私にとっては一番面白かったです。あと、停滞フィールドや跳躍円盤などの超科学の産物も忘れるわけにはいきません。

リングワールドふたたび

これは、「リングワールド」の続編です。「リングワールドが剛体だとしたら、力学的に安定しない」という読者からの指摘がきっかけとなって書かれた作品だそうです。「リングワールド」では謎のままだった、建設者の謎もこの作品で解明されます(ちなみに原題は "THE RINGWORLD ENGINEERS")。なお、「リングワールドふたたび」に続く、「リングワールドの玉座」も出ています。

中性子星
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
太陽系辺境空域
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
プロテクター
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
プタヴの世界
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
地球からの贈り物
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
リングワールド
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
リングワールドふたたび
[著者] ラリィ・ニーヴン
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
リングワールドの玉座
[著者] ラリィ・ニーヴン [翻訳] 小隅黎
[出版] ハヤカワ文庫SF(早川書房
[ISBN] 978-4-15-011559-3
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リングワールドの子供たち
[著者] ラリィ・ニーヴン [翻訳] 小隅黎 [翻訳] 梶元靖子
[出版] 海外SFノヴェルズ(早川書房
[ISBN] 978-4-15-208728-7
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http://www.matsubokkuri.net