金蓮花 (更新終了)

翠の稜線、金の夢

翠の稜線、金の夢
[著者] 金蓮花 [イラスト] 樋口ゆうり
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600638-5
Amazon.co.jp
ある目的のために故郷ヴェネツィアを離れ、クンルン(崑崙)を目指して旅する青年騎士アンドレアが主人公。砂漠で行き倒れていたアンドレアは、謎めいた少年・陸吾(リュウウー)に助けられ、共に崑崙を目指すことになります。所々で挿入されるアンドレアの過去の情景と、崑崙というこの地上にはない世界の描写が混ざり合って、どこまでが現実かわからないような不思議な雰囲気になっています。また、「東」の崑崙を「西」の騎士が訪れるというのも新鮮でした。

竜の眠る海

突如、緑と眠りに閉ざされた「海の王国」オディロカナで、ただ一人眠りを免れた王子リューイと、何かに導かれるようにこの王国を訪れた傭兵ジェイファン。王国の森で出会った二人は、城で眠りつづけるリューイの姉姫、ノーイの祝福を受けて、ともに「緑の眠り」の謎を解くために旅立ちます。この二人を導くのは、リューイの落とした涙によって、青く輝きはじめた一枚の地図……。

「王子と傭兵」という関係のこの二人の冒険で明かされるのは、オディロカナ建国に秘められたある事実……一人の姫と、一人の騎士と、一頭の竜の物語です。さらに続編(「剣の末裔」以降)では、リューイ王子と、彼に「剣を預けた」傭兵ジェイファンの二人を中心に、数々の不思議な物語が展開されます。

このシリーズは、「か弱い少年」リューイが、猫背の傭兵ジェイの助けをかりて成長していく……こういう話でもあります。そして、そのリューイもまた、彼が出会う人々に大きな影響を与えていくことになります。また、その他の登場人物……リューイの姉姫ノーイや、教育係でもあるゾーイ・ギース子爵、ジェイの生まれた国であるカディア帝国の皇帝ダーシャなど……も、とても魅力的です。こんな人々とともに、「炎の支配者」リューイと「暁の傭兵」ジェイファンが生み出す、数々の不思議な物語……とても美しいファンタジーです。

竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614307-3
Amazon.co.jp
剣の末裔 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614318-9
Amazon.co.jp
黄昏の伶人 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614411-7
Amazon.co.jp
虚飾の檻 前編 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614482-7
Amazon.co.jp
虚飾の檻 中編 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614493-3
Amazon.co.jp
虚飾の檻 後編 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614549-7
Amazon.co.jp
虚飾の檻 完結編 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614577-0
Amazon.co.jp
この「虚飾の檻」は、シリーズ第2巻「剣の末裔」の直接の続編と言える話です。「剣の末裔」は、故郷であるカディア帝国に帰ったきり行方不明となったジェイを見つけ出すため、リューイがカディア帝国を訪れるという物語でした。そこで起きたある事件がきっかけとなって、リューイたちはカディア帝国の皇帝ダーシャと知り合い、ひとつの秘密の約束を交わします。それから二年後、海の王国オディロカナを、カディア帝国の皇帝ダーシャが訪れたところから、この「虚飾の檻」は始まります。約束を忘れ、別人のように振る舞うカディア皇帝ダーシャ。原因不明の高熱で倒れたリューイの姉姫ノーイ。リューイに「魔法が使われた」と語った精霊の女王。そして、リューイのもとに届いた一通の手紙がきっかけとなって、リューイはジェイとともに旅立ちます。目的地は、リューイが外遊で訪れたことのある、エシャンテ国の都トクラでした。そこでリューイは、エシャンテの女王アサノと会い、オディロカナで進行しているできごとに関係する、ある事実を告げられることになります。この「虚飾の檻」の主人公は、もちろんリューイとジェイなんですが、エシャンテの女王アサノと、エシャンテ国タキエダの領主カズサ(途中から出てきます)の二人が、重要な位置を占めています。作品中では、オディロカナのできごとに加えて、アサノとカズサの関係や、エシャンテ国の内情についても描かれているため、分量が増えてしまったみたいです。増えた分(というわけでもないのでしょうが)も、とてもいい話で、あわただしく語るにはもったいないものですけど……。
精霊の女王 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614530-5
Amazon.co.jp
外遊のために、祖父の国を訪れたリューイたちがまきこまれた、ちょっとした事件のお話です。王宮で出会った吟遊詩人シーナの願いを叶えるため、リューイとジェイはちょっとした冒険をすることになります。そして、リューイたちが出会ったのが、事件のそもそもの原因である「精霊の女王」ミレアプロ。オディロカナ建国とも何らかの関連があるらしい、ミレアプロの祝福をリューイは受けて、このささやかな冒険は終わります。それにしても、「言葉」がとても美しいファンタジーだと(今さらですが)感じました。さらに「言葉」というものを丁寧に扱っているという印象も受けました。ちなみに私は、作中でノーイやシーナの歌う場面が一番気に入っています。あとがきによると、雑誌連載時は吟遊詩人シーナは嫌われていたそうですが、私はかなり気に入っています。
夏至祭 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614772-9
Amazon.co.jp
シリーズ番外編です。カバー&巻頭イラストのリューイ、これまでよりも美しくなってます(巻頭の方は、凄くクールな印象ですけど)。今回の舞台はオディロカナ王国の宮廷です。タイトルの通り夏至祭の一夜の物語で、吟遊詩人シーナの言葉がきっかけとなって、謎に包まれたジェイファンの過去の一端が明かされます。他には、かつてリューイがその魔術で「怯えさせてしまった」イラ王国の姫君なども登場します。
誓言 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600087-1
Amazon.co.jp
久しぶりのシリーズ新刊です(第10巻)。「虚飾の檻」でリューイが手に入れた「魔導の書」を封印するための、リューイとジェイのささやかな旅の話です。どっちかというと番外編なんですが、重要人物がいきなり登場。……それにしても、そろそろ本編が読みたい。
落花流水 竜の眠る海
[著者] 金蓮花 [イラスト] 珠黎皐夕
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-600252-3
Amazon.co.jp

水の都の物語

人々の祈りを水の神に伝える「水の巫女姫」が、何者かによって殺害され、雨が降らなくなった水の都ファロン……。この都に、神に捧げる舞によって、新しい水の巫女姫を選ぶ儀式が行われる「水の大祭」の行われる時期が近づいていました。儀式に参加するのは、水の巫女姫になることに異常な執念を燃やす、金髪と青い瞳の少女リランと、その親友である、銀の髪の無邪気な少女サヒャン。無邪気なサヒャンは、大人びたリランに憧れていましたが、その執念に何か不吉なものを感じていました。また、国王ヨゥンと、その親友でもある国務大臣カイエンは、リランの姿を見て動揺します。巫女姫になることに執念を燃やすリランの、「真の目的」とは……?

巫女姫が、水の神に捧げるという「舞」の描写がとても美しく迫力があります。さらに、激しい雨の中でのクライマックスは圧巻です。私は、この作品を読み終えてからしばらくは、雨が降るとこの「舞」を思い出していました。また、作中で出てくる「真珠の誓句」……男性が女性に捧げる誓いの言葉……も、印象に残っています(でも、一番印象に残っているのは、エピローグの部分…………か、可愛いっ)。

続編「月の迷宮 陽の迷宮」「陽炎の砂丘」は、この「水の都の物語」の登場人物の子供たちが主人公のお話です。

水の都の物語 前編
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614107-9
Amazon.co.jp
水の都の物語 後編
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614122-2
Amazon.co.jp
月の迷宮陽の迷宮 前編
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614160-4
Amazon.co.jp
月の迷宮陽の迷宮 中編
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614171-0
Amazon.co.jp
月の迷宮陽の迷宮 後編
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614181-9
Amazon.co.jp
陽炎の砂宮
[著者] 金蓮花 [イラスト] 久下じゅんこ
[出版] コバルト文庫集英社
[ISBN] 978-4-08-614252-6
Amazon.co.jp
http://www.matsubokkuri.net