甲斐透 (更新終了)

月の光はいつも静かに

月の光はいつも静かに
[著者] 甲斐透 [イラスト] あとり硅子
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54035-6
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異国から貢ぎ物としてオルロア王国宮廷に贈られた姫君イファと駆け落ちした、名家の跡取りでもある若き近衛騎士アドリアン。彼を追うのは、王国軍の寄せ集め部隊である「黒龍隊」隊長であり、かつてアドリアンの上司だったゼルス・ダガン。流浪民との混血であるがゆえに、立てた軍功にもかかわらず隊長にしかなれなかったダガンにとって、アドリアンの行為は許し難いものでした。そして追跡の末、月夜の砂漠でアドリアンと対面した隊長は…? 「自分が求めてやまないものを全て持っているのに、それを惜しげもなく捨てようとする相手との衝突」という重い話なんですけど、タイトルのように透明感があります。しかし、ダガン隊長って……鈍いっ(恋愛ごとに関しては……)。なおこの本には、表題作のほかにもう一編「街の灯は黄水晶色にあたたかく」が収録されています。自信喪失と自己嫌悪にとりつかれた、ある黒龍隊員の話です。後で回復してはしゃいで隊長に飛び蹴りしたりしますが……(笑)。

金色の明日

このシリーズは、文庫本2巻で本編は完結していますが、「小説ウィングス 2002年冬号(No.34)」に、ダニエルのかつての盟友ラドリが主人公の番外編「黒い翼の聖女」が載っています(文庫本未収録)。ラドリが幸せを見つける話……でしょうか。
(酔った勢いとはいえ、ダニエルを忘れられなかったラドリが良いです)

金色の明日
[著者] 甲斐透 [イラスト] 桃川春日子
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54058-5
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親方に脅されながらの掏摸やかっぱらいで暮らしていた浮浪児ミオーニ。そんな彼女に初めて暖かい言葉をかけたのは、仕官先を求めて旅をする金髪の騎士ダニエルでした。その手を一度は突っぱねたものの、ダニエルのことが忘れられないミオーニは、自分の気持ちもよく分からないままに彼の後をつけ、クァストールという名の街に入りますが、彼の迷惑になることを恐れて近づけずにいました。そんな中で起きた隣国の突然の侵攻。大部分の領民が街から避難する中、ミオーニは、ダニエルがいる街に残ることを選んだのでした。 一途で健気で可愛い少女ミオーニと、強くて格好いいけど鈍いところもある騎士ダニエル、二人の運命を変えることになる出会いの物語です。
金色の明日 2 瑠璃色の夜、金の朝
[著者] 甲斐透 [イラスト] 桃川春日子
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54069-1
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騎士とその従者という形で旅を続けるダニエルとミオーニ。カレンという街に入った彼らが出会ったのは、ダニエルのかつての盟友ラドリでした。彼に「騎士」と「女性」が共に旅をすることの不都合を指摘されたダニエルとミオーニは、互いに相手を思いやるあまり、すれ違いを起こしてしまいます。一方、ラドリは暗殺者であり、カレンにやってきたのも「仕事」のためでした。そしてその標的は……? 本音では一緒にいたいのに、すれ違いを起こしてしまうダニエルとミオーニが、この話のポイントです。あと、少年時代のダニエルを想像して転がるミオーニが可愛い(笑)。モンゴメリー郷おじいちゃんも良いですが、私はラドリが一番気に入っています。

双霊刀あやかし奇譚

大正時代の日本を舞台にした、刀匠の吉光と禰宜の兵衛介、二人の霊が取り憑いている脇差と、それを手に取った庄屋の娘・早苗の、あやかし退治と恋の物語です。

父の留守中に、家に押し入った強盗から逃げまどう早苗が偶然手にした脇差。そこに宿っていた、口の悪い禰宜・兵衛介は、早苗の身体を操り、強盗たちを斬り捨てます。こうして脇差に宿る兵衛介に命を救われた早苗でしたが、この脇差にはもう一人、生気に飢えた刀匠の霊・吉光が宿っており、兵衛介は、脇差に宿る吉光に操られそうになって自決した者だったのでした。そして、幾度か脇差に触れて言葉を交すうちに、早苗は兵衛介に恋心を抱くように……。

思い悩んだあとで、一気に吹っ切れる、早苗のまっすぐな気性が心地よい話です。

双霊刀あやかし奇譚 1
[著者] 甲斐透 [イラスト] 左近堂絵里
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54066-0
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双霊刀あやかし奇譚 2
[著者] 甲斐透 [イラスト] 左近堂絵里
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54078-3
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エフィ姫と婚約者

エフィ姫と婚約者
[著者] 甲斐透 [イラスト] 凱王安也子
[出版] ウィングス文庫新書館
[ISBN] 978-4-403-54141-4
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http://www.matsubokkuri.net