リアライン
二つの世界が共鳴しているときに、二つの世界で同時に生まれた人間は、二つの肉体を二つの精神が共有する「双身の者」となる……という設定が鍵となっているファンタジーです。主人公は、生まれたときから眠りつづける精霊使いリアラインと、人間より植物に親しみを覚える美由の二人(?)。彼女は、うまく精神が分割されなかった「双身の者」だったのです。そして、リアラインを目覚めさせるため、数人の「双身の者」が美由に接近するのですが、その行動は決して穏やかなものではなかったのでした……。現代日本と接する異世界、という設定のファンタジーは多いですけど、こういうかたちで接触している作品は珍しいような気がします。夢の中で……とかとはまた違いますし。穏やかな雰囲気に、時折、殺伐とした雰囲気が混じる、それでいて落ち着いた感じの話でした。
- リアライン
- [出版] ファンタジーの森(プランニングハウス)
- [ISBN] 978-4-939073-26-7
再生のとき
隣の幼なじみ二人といっしょに、小さな医院に肝試しに入った中学生の果奈。年老いた院長が亡くなって取り壊されることになったという、その古びた医院で、果奈は若い女性の声を聞きます。そして、その女性は、亡くなった院長の想い人だった……。悪夢からの目覚めのお話……ですね。
- 再生のとき
- [出版] ファンタジーの森(プランニングハウス)
- [ISBN] 978-4-939073-08-3
地下十七階の亡霊
いくつもの階層に分かれた巨大な塔の中で、人々が暮らしている世界。その二十一階に住むジェイドは、街で地下十七階からやってきたという踊り子と出会います。各階層間の交流は厳しく制限されているこの塔の中で、犯罪者が「落とされる」という最下層は十六階。その下にある十七階とは何か? 隠された「秘密」というのは割と簡単に見当がつくと思います。淡々として地味な話ですが、私はかなり気に入ってます
- 地下十七階の亡霊
- [出版] ファンタジーの森(プランニングハウス)
- [ISBN] 978-4-939073-06-9